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サラリーマンが築古木造を購入すると節税できるのか?(4)

この数年間うなぎのぼりの業績を上げ、知名度と共に会社の規模を拡大し続けていたMS社は、東京の一等地にあるビルのテナントに支店を出すほどまでに成長していた。
俺は面談のアポを、自宅ではなく職場から近い新しい東京支店に入れ、その日をワクワクしながら待った。

面談の日がやってきた。俺を担当したのは、営業部長のA氏。俺より10歳以上若いが、自身での不動産投資の経験は豊富であり、木造の節税の知識は税理士より豊富という自己紹介だ。若くして営業部長にのぼりつめた彼は、年上の部下を隣に率いて、自信たっぷりにこう言った。

「紺野さんの場合、物件からの家賃収入と節税効果で、年間400~500万のキャッシュフローが見込めます。それを新しい不動産に再投資していけば、あっという間にアガリですよ。すべて私たちにお任せください。」
「それで、今回紺野さんにご紹介したい物件はこちらです。」

そう言ってA氏が目の前のプロジェクターに何枚かの写真を映し出す。
いろんな角度から広角のレンズを通してカメラに収められた黒塗りのアパートが5棟、目の前に現れた。

俺は、この状況にテンションが上がり、文字通り「冷静さを保ちながら自分の頭で考える」ということができなくなってしまっていた。

A氏はこう続けた。
「隣接する敷地にある5棟を、まとめて売りに出しています。合計2億3150万。紺野さんにちょうどいいと思います。木造で長期融資を引けるS岡銀行なら30年でいけると思います。」

俺「S岡銀行ですと金利が3%以上と高いですよね?」

テンパっている俺の頭でも、まだこのくらいのことは考えることができた。
しかしA氏からは意外な答えが返ってきた。

「金利は他行より高いです。しかし、最終的には減価償却を使用して不動産収支を赤字にし、税金を還付させることが目的ですので、金利も経費になります。だから金利の高い低いは、あまり関係ないんですよ」

俺はわかったようなわからんような不思議な気持ちのまま、ただうなずくことしかできなかった。

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