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金利と債券価格の関係を誰よりもわかりやすく解説する
以前のメルマガに書いた内容について、読者から質問を頂いた。
質問は、「金利が上がると債券価格は下がる」と書いた部分だ。
実は、債券と金利は切っても切り離せない関係にある。
株と債券の違いとは
これを理解して頂くために、まず「債券」について解説をしていこう。
「債券」を一言で説明すると、
「国や企業が、投資家から資金を借り入れるために発行する有価証券」だ。
では債券は株とは何が違うのか?
株を買うと、その企業の出資者になる。
会社の利益に合わせて、株価は上がったり下がったりするけれど、その結果の責任は株主が負う。
例えば、万が一その企業が潰れてしまい、株の価値がゼロになってしまっても、それは株主の責任ということだ。
その代わり、企業の業績が大きく上がり、配当が高くなれば、その分大きな利益を受け取ることもできる。
一方債券は、政府や企業が投資家からお金を借りるための借用証書だ。
返済力のある政府や企業は、債券を発行することにより、銀行から借りるよりも安い金利で投資家からお金を集めることができる。
しかしこれは借金なので、最終的に利子をつけて投資家に全額返さなければならない。
簡単に言うとこれが株と債券の違いになる。
余談だが「債券」と「債権」は同じ「サイケン」でもだいぶ違う。
「債権」は債務者に対して、一定の行為をすることを要求する権利のことだ。
例えば、お金を借りた人に返済を求める権利が債権。
まとめると、
株=企業への出資。投資家は企業利益の分け前をもらう。
債券=企業の借金の借用書。元本や利息が保証されている有価証券。
ということになる。
債券に記載されている3つの返済条件
さて、ここでは代表的な債券である、「国債」について考えてみよう。
「国債」というのは、国家が発行する借金の証書で、債券の一種だ。
この債券(借用証書)を会社が発行すると社債、地方自治体が発行すると地方債、アメリカ政府が発行すると米国債になる。
では、日本国が発行すると?そう、日本国債だ。
債券は借金の証書なので、そこには必ずお金の貸し手に対する3つの返済条件が記載されている。
その3つの条件とは
① 元本
② 返済期日
③ 金利
例えば日本国が、1年毎に千円の利息(金利)を支払う、期間10年(返済期日)の債券を10万円(元本)で発行したとする。
あなたがこの債券を10万円で購入すると、1年毎に千円の利息を受け取り、10年経つと元本の10万円が戻ってくる仕組みだ。
この金融商品は、元本10万円に対して毎年の利息が千円だから、金利1%の金融商品だ。
10年間持ち続けて、1万円分の金利と10万円分の元本を受け取れば、話はそれでおしまいだ。
ところが5年後、あなたは急にお金が必要になり、この10万円で購入した債券を売却しようと考えた。
さて、この債券はいくらで売れるだろうか?
金利1%の債券はいくらで売れるのか?
トータルで11万円戻ってくる金融商品だけど、すでに5千円を受け取ってしまったから、売却価格は10万円から11万円の間だろうなぁと、考えた人は昔の俺と同じだ。
でも不思議なことに、債券の価格はそうならないかもしれないのだ。
もし売却するタイミングで発行される国債の金利が2%になっていたら?
国債の金利はその時の市場によって変動するので、5年後に発行されるものの金利が、あなたが買ったときと同じ1%とは限らない。
金利2%の国債ということは、10万円の元本で毎年2千円ずつ受け取れるということだ。
当たり前だが、この状態ではあなたが売却しようとしている金利1%の国債と、新しく発行された金利2%の国債では、元本価格が同じであれば、誰だって2%の方を買うに決まっている。
ということは、あなたの持っている金利1%の国債は、その金利がちょうど2%になるところまで価格を下げることによって、やっと新しく発行される国債と同じ条件になり、その価格で売買の取引が成立することになるのだ。
つまりあなたが10万円で購入した債券は、もはや10万円以下でないと売れないということだ。
このことから、
「金利が上がると債券価格が下がる」
「金利が下がると債券価格が上がる」
という原則を導き出すことがきる。
メルマガで、
「マイナス金利から通常の金利に戻す(金利が上がる)と、債券価格が暴落する」
と書いたのは、この理由によるものなのだ。