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災害対策とパラレルキャリア

台風19号は、俺の住む街には予想された暴風こそ起こさなかったが、
河川があと一歩で氾濫するという、恐怖の爪痕を残して去っていた。

今回の台風がいつもと違った点は、それが訪れる前のニュースやSNSなどで発信された、
あらゆる注意喚起の多さだ。

どのメディアも、「いつもの台風とは規模が違うので、十分すぎるほどの備えを!」と、
俺たちに連日呼びかけていた。
そして台風の前日には、スーパーから水や食料や日用品が消え、
それらを本当に必要とする人が手に入れることのできないという事態が各地で起こった。

ちなみに我が家では、常に2Lのペットボトルの水が6本入りのケースで数箱、
そして災害用の加工食料品が2週間分ほどストックしてある。

これは台風のための備えというよりは、
いつ起こるかわからない大地震や伝染病(パンデミック)などの広域災害の時の備えだ。

2011年の東日本大震災の後からこの習慣をはじめ、もう8年以上行っている。
だから俺の家では今回の台風で、新しく水や日用品を特別に調達する必要はなかった。

スーパーから物が消えたというニュースを見て感じたこと。
それは「いざという時に困らないよう、日ごろから備えておくことの大切さ」だ。

そして俺が「パラレルキャリア」という考えのもと、
複数の収入の柱を立てることを目指して行動を始めたのも、
「備え」が大切だと感じたからだったということを、今回の台風関連のニュースを見て思い出した。

そう、あれは忘れもしない2009年の2月。
リーマンショックの余波で世界中の金融機関がボロボロになっていた時だった。

いつもと同じような朝だった。
部署の上司や同僚と談笑していたら、数人が人事に呼び出され、
彼らが二度とデスクに戻ることがなかった日。

俺はあの日から「会社に頼って人生を設計する」という考えを捨てたのだ。

その日、約100名いた東京オフィスで勤務している社員の3割近くが、何の予兆もなくリストラ勧告を受けた。

俺たちの部署も、12名いたメンバーが一日で6名まで減った。
引き継ぎなんてまともにできるような状態ではない。
何が起こったのかを理解したのは、
リストラ対象者が全員会社を去った夕方になってからだった。

人事面談の最中にリストラ対象者のパソコンのアカウントがロックされ、
面談が終わったら速やかに私物をまとめ、会社から出て行くよう伝えられたらしい。

そしてこれは東京オフィスに限ったことではなかった。
香港、シンガポールオフィスでも同じ状況。
時差の関係でアジア地域が最初にこの日を迎えたが、
それに続きヨーロッパ、そして本社があるアメリカの全オフィスで、同じ事が起こった。

外資系はいざというときにドラスティックな人事決断をするということを、
俺が初めて目の当たりにした時だった。
そしてその日を境に、俺が今まで会社に持っていた忠誠心のようなものも、
ガラガラと音をたてて崩れ落ちていったのだ。

その時に思った。
「どんなに会社に貢献した実績があっても、会社都合でリストラされる時がある」と。

その人があげた業績や持ち合わせた人格とは関係なく、
勤続年数や役職によって、会社がドラスティックな決断をしなければならない時もあるのだと。

俺はその日から、会社に頼って人生設計をするという考えを捨て、
自分の人生は自分の力で切り開かなければならないと思うようになった。
自分がリストラの対象から外れたのは、幸運のくじに当たったようなものだ。

そしてそのためには、会社に頼らず自分で生きていくための力を
身につける必要があった。

そして出した答えが「パラレルキャリア」を目指すこと。
当時はそんな言葉なんてまだ聞いたことがなかったけれど、
複数のキャリアを同時進行で走らせて、
どんな状況にも対応できる方法を身につける必要性をひしひしと感じた。

そして俺は、新しい道を模索し始めた。
すなわち会社に頼らずに、自分の力で稼ぐこと。
それは会社での実績を上げながらも、複数の収入源を持つことに他ならない。

当時の社内規定で、副業は大々的に認められていなかったけれど、
だからと言って何もしないわけにもいかなかった。

実際にお金を稼がなくても、その準備をするための知識や人脈を広げる。
それは俺にもできることだった。

あれから約10年が経ち、今俺は複数のキャリアを平行で走らせている。
まだそれぞれの事業で独立して食べていくほどまで成長はできてはいないけれど、
確実にその方向に向かって進んでいる手応えは感じている。

10年という年月を経て、俺の人生はガラッと変わった。
その時その時のフェーズで出会うべき人たちに巡り会い、
会社という小さな世界から抜け出して、自分と合う人と組んで仕事ができるようになった。

パラレルキャリアを目指さなければ、出会うことのなかった人たち。
お互いに良い感じで影響し合い、仕事ができる喜び。
そしてそこで得た知識や経験を本業の仕事にも還元させる。

これらは、すべて地道に準備をしてきたからこそ、今実現できているのだと思う。

もしあなたが台風19号のニュースを見て、普段からの準備の大切さを感じたなら、
自分のキャリアについても、もう一度考えてみてはどうだろう。

今や外資系だけではなく、日本の大企業も人員削減に迫られている時代だ。

そうなってから考えるのは「受け身」の人生。
そうなる前に自分で考えて行動をするのが、「人生を自分でコントロールする」人生。

自分で好きなように生きていきたいなら、選ぶべきは後者だ。

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