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サラリーマンが築古木造を購入すると節税できるのか?(7)

MS社は売買も行うが、実際その名を世の中にアピールしているビジネスは、物件管理だ。
不動産管理会社の戦略について社長が書籍を出版し、それとなく自社の素晴らしさも本の中で宣伝している。
そしてその書籍をセミナーやHPで無料で配布することによって、顧客リストを集めるというマーケティング戦略だ。

MS社のビジネスエコシステムの仕組みはこうだ。
自前で安く調達した物件をリノベーションしてしばらく保有し、満室にした上で投資家に販売する。
その売買条件として自社の管理をセットで付帯させる。
投資家が数年後にその物件を売却する時は、売買から入居者の動きまでをすべてを熟知しているMS社が仲介をし、新しい投資家を見つけその物件を転売する。
この時、物件を横に流すだけで売主からも買い主からも、それぞれ売買価格の3%の仲介手数料を受け取り、また自社で管理をするという無限ループ状態を作る。

このビジネスモデルはとても良くできていて、管理の戸数を増やせば増やすほど、会社の利益もどんどん増える仕組みだ。

しかしこれはMS社にはメリットだが、物件オーナー側から見れば管理会社の選択の余地がないというデメリットでもある。
特に困るのが、MS社の方針と自分の利害が対立した時だ。

MS社の会議室で、銀行とローンの契約が終わり、MS社に物件代金が支払われ、その所有権が俺のものになった直後、管理担当が挨拶にやってきて、そのまま俺たちは管理契約の手続きに入った。
しかし俺はその内容を見て、その料金体系に愕然とさせられたのだ。

管理手数料5%+消費税。
相場よりは高いけれど、手厚く管理をすることを謳っているMS社なら仕方ない。ここまではギリギリ納得できる。
しかし問題はその後だった。

清掃代(建物管理)1,900円/戸
緊急サービス報酬 600円/戸
定額小修繕費用 1,500円/戸

・・・。
なにこれ?聞いてませんけど。

清掃とは物件まわりの清掃を週1回(ゴミ拾いくらいしかやることないし)

緊急サービス報酬とは、24時間のサポートセンターの料金(通常の管理業務に含まれないんかい!しかも24時間である必要なんてない)

定額小修繕費用とは、エアコンや給湯器のウォッシュレットやドアホンの異常があった際に、オーナーに毎回問い合わせることなく自動的にこの積立金から支払われるための掛け捨ての保険(どうせウラで手を回してガス会社にサービスしてもらうんだろうが!怒)

正直全く必要ないものばかりだし、すべてが高すぎると思った。

この合計額である 4,000円に消費税8%をかけて、それを5棟19戸分で計算すると、1ヶ月の合計は82,080円。
これとは別に、先述した管理料5%の徴収だ。

ざっと計算すると管理料を含め、MS社に支払う額はなんと家賃の総収入の12%!
ただでさえ銀行からのローン金利が高いのに、これでは毎月のキャッシュフローは満室でも危ういレベルだ。

極めつけは定額リフォーム費用。これは退去があった時に部屋のコンディションに関わらず、一律でかかるリフォーム代だ。
俺のアパートはファミリー物件で間取りが広いため、その額なんと1回の退去で40万円超。

部屋の状態がどうであれ、退去がある度に問答無用でこの金額が家賃収入から差し引かれていく。しかもその間、その部屋からの収入はなくなるというダブルパンチだ。
この方法だと、管理会社としては利益を十分に出しながら、下請けに格安で工事を発注できるし、オーナーにリフォームの見積り確認や承認を得る必要もなくなる。
管理会社からすればこの上なく楽な方法だろうが、オーナー側からしたらたまったものではない。
地元の業者さんとのコネクションを使って、格安でリフォームをしたくても、他のアパートで当たり前にできるはずのことがMS社ではできないのだ。

当然俺は抵抗した。
自宅と物件が近いため、清掃は自分でやりたい。
定額小修繕費用は払わずに、問題が起きたら都度払いにしたい。
退去時のリフォームについては自分で業者を手配するから、入居者の募集業務だけやってほしい。

しかし俺のどのリクエストも聞いてはもらえなかった。
全部パッケージ化されたサービスで、これが購入の条件となっているとの一点張りだ。

物件の売買が終わってから、こんな理不尽なサービスの内訳を出してくるなんて、超ヤバい会社じゃないのか?
「オーナーの利益を最大化する」とかでっかい声で謳っているけれど、考えていることは自分たちの利益の事だけだとしか思えなかった。
今までMS社を最高の不動産会社だと思っていた俺だが、この一連の流れの中で彼らへの不信感が募り、逆に裏切られた気持ちでいっぱいになった。
こうして、物件が手に入った瞬間、俺は地獄に突き落とされたのだ。

そして2週間後に事件は起こった。
ある夏の日曜日の午後、自宅マンションの呼び鈴が鳴った。
普段はインターホン越しに話しをするだけでお帰りいただく飛び込みのセールスマンだが、この時俺は、直感でこの人の話を聞いてみようと思った。
そしてその男との運命的な出会いが、今後の局面を大きく変えることになるなんて、当時の俺には想像すらできなかった。

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