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フラット35で不動産投資?「資料改ざんという」不正融資の行きつく先

3. 跋扈(ばっこ)する書類改ざんという「不正融資」

3.1 共通するスルガとアルヒの不正融資問題

どうしても物件を手に入れたい投資家と、売買手数料を得たい不動産業者、そして融資を出して実績を上げたい金融機関の担当者。
不動産の取引には、この3者がキープレーヤーとして登場するが、全員がハッピーになるためには、何としてでも融資を承認させ、物件の売買を成立させればよい。

しかし、買主の信用力が十分ではなかったり、そもそも自己資金が準備できなかったりする場合、最後の手段として行われるのが、「融資審査書類の改ざん」という不正行為だ。

少し前に世の中を騒がせたスルガ問題も、今回のアルヒの不正融資のニュースも、報道が事実ならやっていることは基本的には同じだ。

融資資料の改ざんでは、銀行預金の残高にゼロを一桁増やして十分な資産を持っているように見せかけたり、給与明細の数字を修正して見た目の年収を上げたりするということが行われる。

コピーされた銀行口座の残高や給与明細の数字を偽装し、見せかけの資産の残高を積み増すことによって、買い主の信用力を高め、より多額の融資を引き出すという手法は、プレーヤー全員にとって都合のいい「三方良し」の取引で、その不正は黙認される。

問題は、この不正行為が、買主が知らないところで行われていることがあるということ。
スルガ問題もアルヒ問題も、不動産業者と金融機関の担当者がグルになり、書類の改ざんをしていたというから、この問題は非常にたちが悪い。

買主は、裏で何が行われているかきちんと理解していないまま、不動産業者の言われた通りに資料を提出し、すべてが順調に行っていると信じて、決済の日を迎えることになる。

スルガ問題もアルヒ問題も、その規模は違えど、行われた不正行為はこのように同じ性質のものだったのだ。

3.2 買主を地獄に突き落とす「期限の利益の喪失」

買主がやっと手に入れた不動産。
夢にまで見た不動産事業に参入することができたことは喜ばしいが、物事がこのまま平和に終わらないこともある。

スルガ問題もアルヒ問題も、どこからか不正融資の情報が漏れ、社会問題となってしまった。
こうなると融資を承認した金融機関としても追跡調査をしないわけにいかず、数々の不正行為が明るみに出ることになる。

その結果、金融機関は、ローンの契約書の条項に則り、不正に貸し出されたローンの回収に走り出す。
これは「期限の利益の喪失」と呼ばれており、債権者(金融機関)が、債務者(買主)に対して、債務の履行を請求できる権利だ。
つまり、融資申請資料を改ざんし、金融機関を欺いて引き出したローンの契約はそもそも有効ではないので、「ローンの残額を今すぐに一括返済してくださいね」ということになる。

こうなるとほとんどの買主は返済に困窮してしまう。

(参考:北洋銀行 銀行取引約定書のご案内 第5条(期限の利益の喪失)②の3)
https://www.hokuyobank.co.jp/info/pdf/contract_120110.pdf

(参考:「フラット35」不正、一括返済要求開始
https://www.kenbiya.com/ar/ns/jiji/etc/3913.html

3.3 売却できなければ「自己破産」

ローンの残債の一括返還を迫られた投資家ができることは、基本的に3つしかない。

1つ目は、手元にある資金で残債の全額を一括で返金すること。
しかし、高額な不動産を購入した場合、それができるのはごく一部の富裕層に限られるだろう。

2つ目は、物件を売却し、その売却金額でローンの残債を支払うというもの。
この方法を使う場合、ローンの残債以上の価格で物件を売却できなければ、足りない分は自分の持ち出しになってしまう。

ローンの残債以外にも、不動産の売却取引には多額の手数料が発生する。
例えば売却の仲介手数料。これは通常売買価格の3%+6万円の合計に消費税を加算したものだ。

仮に先ほどの1億円のマンションの場合、運良く1億円で売れたとしても、仲介手数料が別途336万円程発生する。2,500万のワンルームマンションなら89万円という手数料を、物件の売却を仲介した業者に支払わなければならない。

その他にも不動産の売却には、抵当権抹消の登記費用、固定資産税の日割り分、売買契約書の印紙代など、様々な諸費用が追加され、そのすべてをカバーするにはより高値でその物件を売却する必要がある。

しかし、売買価格の上昇は、その分だけ購入希望者を減少させることにもつながる。
売りたくても買い手がいない。こんな状況になったとしても、ローン一括完済の期日は待っていてはくれないのだ。

そうなると残された道は最後の1つしかない。
最悪の結末の「自己破産」である。

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